「ビルドのやり方のコツって何かあるの?」
「いまいち上手にビルドでカクテルがつくれない。」
仕事としてカクテルをつくって提供したことがない人からすれば、美味しいカクテルの作り方がいまいちピンとこない。
ということがあると思います。
今回は、誰でも簡単に美味しいカクテルをつくるために、ビルドの手順を分かりやすくまとめました。
そもそもビルドって何?
という方は、こちらの記事で詳しく解説しているので参考までにどうぞ。
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カクテルの作り方【ビルドとは?】ステアとの違い・ポイントを徹底解説
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元バーテンダーのりまくぼです。
ビルドでつくる代表的なカクテルとしては、ジントニックやハイボールなどがあります。
ハイボールはウィスキーのソーダ割。
多くの方がご存じかと思います。
普段は、家や居酒屋で飲むことがほとんどかと思いますが、本格的なバーで働いていたものからすれば、
居酒屋のハイボールやジントニックなどのカクテルは、正直美味しくないです。
なぜ美味しくないのでしょうか?
それは、美味しい作り方を知らないからです。
私自身、居酒屋は大好きです。
お酒を飲みながら美味しい料理が楽しめる。
ただ一つ残念なのが、ほとんどの居酒屋で飲むカクテルが、
炭酸が抜けている。ちゃんと混ざっていない。分量がテキトウ。
料理は美味しいのに~!!
ということが度々あります。
簡単なポイントさえおさえておけば、誰でも美味しいハイボールやジントニックはつくれます。
それをお伝えしていきたいと思います。
美味しいカクテルをつくるビルドの手順
ビルドは、炭酸系・水割り、果汁系・プレミックス・フロートの4つのタイプに分けることができます。
それぞれのタイプによって、注意すべきポイントが異なるので、一つ一つフォーカスして解説します。
炭酸系のカクテルをビルドでつくる
ハイボール・ジントニック・モスコミュールなど。
ハイボール
step
1氷を入れたグラスに、ウィスキーを注ぐ。
step
2軽くステアして、ウィスキーを冷やす。
ステアせずに炭酸水を注ぐ。 ⇒ Bad✖
炭酸水は、ステアをしたあとに注ぐ。 ⇒ Good!◎
ココがポイント
炭酸水は、温度差があればあるほど炭酸が抜けてしまいます。
ウィスキーを冷やして温度を下げることで、炭酸が抜けにくくなります。
step
3ステアし終えたら、ウィスキーと氷が重ならないようにスキマがある状態にします。
グラスと氷の間にスキマがない。 ⇒ Bad✖
スキマがなければ、つくる。 ⇒ Good!◎
プロのバーテンダーは、スキマができないように氷を組み立てます。
ココがポイント
炭酸水を氷に当てず、直接ウィスキーに注ぐためにスキマを開けます。
- 炭酸水が氷に当たると、炭酸が抜けやすくなる。
- 直接ウィスキーに注ぐと、対流によりウィスキーと炭酸水がよく混ざる。
step
4炭酸水を注ぐ。
テキトウに炭酸を注ぐ。 ⇒ Bad✖
ゆっくり、氷に当てないように注ぐ。 ⇒ Good!◎
ココがポイント
氷の方が炭酸水よりも温度が低いです。
温度差で炭酸は抜けてしまうので、なるべく当てないようにゆっくり注ぎます。
ウィスキーと炭酸水の割合は、1:4くらいがちょうどいいです。
step
5バースプーンで下から氷を一度持ち上げ、上下に1、2回動かす。
混ぜようと思って、何度も氷を動かす。 ⇒ Bad✖
混ぜるのは上下に1、2回だけ。 ⇒ Good!◎
ココがポイント
氷に当てないように炭酸水を注いだ時点で、ある程度混ざっています。
最後に氷を持ち上げて、上下に1,2回動かすだけで、完全に混ぜることができます。
step
6バースプーンを抜いて完成。
バースプーンを乱暴に抜く。 ⇒ Bad✖
炭酸が極力抜けないよう、ゆっくりと抜く。 ⇒ Good!◎
ココがポイント
衝撃により、炭酸は抜けてしまいます。
バースプーンは、炭酸が抜けないように静かに抜きます。
水割り、果汁系のカクテルをビルドでつくる
ウィスキーの水割り・スクリュードライバー・ソルティドックなど。
ウィスキーの水割り
step
1氷を入れたグラスにウィスキーを注ぐ
step
2氷に当てないように冷水を注ぐ
テキトウに水を注ぎ、直接氷に当てる。 ⇒ Bad✖
氷をよけながら、直接ウィスキーに注ぐ。 ⇒ Good!
ココがポイント
ウィスキーに直接水を加えると、対流が起きてよく混ざります。
水が常温だと氷が溶けやすく、冷水だと氷が溶けにくいため、材料は冷えたものがいいです。
ウィスキーと水の割合は、1:2.5くらいがちょうどいいです。
水は、硬水よりも軟水の方が、ウィスキーの風味が引き立ちます。
step
3バースプーンで丁寧に混ぜる。
テキトウに乱雑に混ぜる。 ⇒ Bad✖
丁寧に混ぜる。 ⇒ Good!
ココがポイント
ウィスキーの水割りは、ひとつのカクテルという意識を持ちます。
ウィスキーと水を、均等に混ぜ合わせるため、波打たないように丁寧に混ぜます。
回数は3~6回程度で、薄まりすぎず、キチンと混ざります。
カクテルをプレミックスでつくる
プレミックス・・・あらかじめ材料を混ぜ合わせておくこと。
ネグローニ・ラスティネイル・フレンチコネクションなど。
ネグローニ
step
1プレミックス用グラスに材料を注ぐ。
ココがポイント
粘度の高い材料は、普通のビルドでは、混ぜ合わせるのに時間がかかります。⇒ 氷が解けて味が薄くなる。
氷の入ったグラスに順番に材料を注ぐより、あらかじめ別のグラスで材料を混ぜることで、氷が解けて薄まるのを最小化します。
step
2スワリングする。(グラスを回す)
ココがポイント
グラスをスワリングし回すことで、材料を混ぜる。 + 空気に触れさせます。
空気に触れることで、閉じこもっていた香りが開きます。
step
3プレミックスした材料を、氷の入ったグラスに注ぐ。
step
4ステアする。
プレミックスしてあるので、材料が冷えれば完成です。
カクテルをフロートしてつくる
ウィスキーフロート・アメリカンレモネード・レインボーなど。
ウィスキーフロート
step
1氷を入れたグラスに冷水を注ぐ。
水が常温。 ⇒ Bad✖
冷水。 ⇒ Good!
ココがポイント
水が常温だと、氷が溶けやすいのでなるべく冷水を使用します。
硬水よりも軟水の方が、ウィスキーの味を引き立たせます。
step
2バースプーンで一度ステア。
ステアせずにウィスキーを注ぐ。 ⇒ Bad✖
ウィスキーを注ぐ前にステア。 ⇒ Good!
ココがポイント
氷と冷水の温度は異なります。
温度が違えば氷が溶けやすくなるため、ステアし、氷と冷水の温度を合わせます。
step
3バースプーンをつたわせ、静かにウィスキーを注ぐ。
勢いよく、直接ウィスキーを注ぐ。 ⇒ Bad✖
静かにバースプーンをつたわせながらウィスキーを注ぐ。 ⇒ Good!
ココがポイント
バースプーンの腹側を、水の表面の位置に持っていき、ウィスキーをゆっくり注ぎます。
裏よりも腹側の方が、量の加減がしやすいです。
水の方がウィスキーよりも比重が重いため、軽いウィスキーが沈まずに表面に浮かびます。
まとめ
ビルドの詳しい手順について、解説してきました。
<炭酸系カクテル>
- 炭酸水は、温度差があればあるほど炭酸が抜ける。 ⇒ ステアでお酒を冷やし温度を下げる。
- 炭酸水が氷に当たると炭酸が抜ける。 ⇒ グラスと氷の間にスキマを開ける。
- 直接お酒に炭酸水が注がれると、対流でよく混ざる。 ⇒ 炭酸水を注ぐときは、氷に当てないように注ぐ。
- ウィスキーと炭酸水の割合 ⇒ 1:4
- かき混ぜすぎると炭酸が抜ける。 ⇒ かき混ぜるときは上下に1,2回。
<水割り・果汁系カクテル>
- 割材が常温だと、氷が解けて水っぽくなりやすい。 ⇒ 割材は、なるべく冷やしておく。
- 割材を注ぐとき、お酒に直接当てるとよく混ざる。 ⇒ 割材は氷に当てないように注ぐ。
- お酒と割材を乱雑に混ぜると、均一に混ざらない。 ⇒ ステアするときは、波打たないよう丁寧に混ぜる。
<プレミックス系カクテル>
- 粘度の高い材料は混ざりにくい。 ⇒ あらかじめプレミックスで材料を混ぜておく。
- お酒は空気に触れると香りが開く。 ⇒ プレミックスした後、スワリングする。
<フロート系カクテル>
- 材料の比重が違う場合、ゆっくり注ぐと混ざらない。 ⇒ バースプーンをつたわせ、ゆっくりとお酒を注ぐ。
- 材料を注ぐとき、バースプーンの腹側の方が量をコントロールしやすい。 ⇒ バースプーンの腹側をつたわせる。
これらのポイントをおさえて、家でつくる方は自宅で、飲み屋で働いている方は職場でつくってみると、格段に美味しいカクテルに仕上げることができます。
カクテルづくりの参考になれば幸いです。