ウィスキーやカクテルなど、お酒の味も大事ですが、それを注ぐグラスにもこだわりたいものです。
あまり意識することはないと思いますが、グラスによってお酒の味も変わります。
グラスを選ぶ際、何を基準に選べばいいでしょうか?
- 価格
- 材質
- 形状
- ブランド
などが挙げられると思います。
今回はブランドに焦点を当てていきたいと思います。
どんなブランドがあるのか、それぞれの特徴を国別に簡単にまとめました。
フランス
ブランド①Baccarat(バカラ)
グラスのブランドで高級かつ有名なので、名前だけでも聞いたことがある方は多いと思います。
1964年にフランスのバカラ村に創設。
「最良の素材・最高の技術・そしてそれを継承すること」を理念にかかげ、300年以上一貫して至上の美を追求し、高級クリスタルの代名詞となりました。
フランスの「M.O.F]を50人以上排出し、熟練した技術と継承に力を注いでいます。
その品質基準の高さゆえ、製造された商品のうち販売されるのは6~7割で、それ以外は破棄されてしまうとのこと。
バカラが高品質で高いのにはそれなりの理由があるんですね。
プレゼントにも、自分へのご褒美にも最適なグラスです。
※M.O.F・・・フランス国家最優秀職人賞で、日本で言う人間国宝くらいすごい賞のこと。
ブランド②La Rochere(ラ・ロシェール)
1457年創業と、フランスでも最古のガラスメーカーです。
古典的なデザインや。ルネサンス様式が反映された伝統的シリーズ、ナポレオンから愛されたフランスで幸せを呼ぶといわれるミツバチモチーフなど、どこかノスタルジックな雰囲気もあります。
パリのカフェでもよく使用されたり、業務店でもそろえられています。
イタリア
ブランド③DAVINCI CRYSTAL(ダヴィンチクリスタル)
世界最大のクリスタルメーカーのRCR社の高級クリスタルブランドです。
レオナルドダヴィンチが生まれ、文化遺産と美しい自然に囲まれたイタリア・トスカーナ地方のコッレ・ヴァル・デルザに工場があります。
クリスタルの町として知られ、イタリアのクリスタルの90%がこの町で生産され、世界シェア15%を占めています。
製造地・デザインにおいてイタリア製にこだわり、最新の工場設備と伝統をを受け継いだ技術者によってさまざまなグラスを開発。
製品はすべて、酸化鉛を24%以上含むレッドクリスタルと呼ばれる高級クリスタルです。
光の屈折率や透明度が高く、密度・比重が重いためずっしりとした重厚感があります。
ブランド④Luigi bormiori(ルイジボルミオリ)
1946年にイタリアのパルマで創業した、ボルミオリルイジ社が手掛けるブランドです。
エルメスやフェラガモなどの香水瓶もつくっており、香水瓶つくる上での香りの研究を生かし、ワイングラスやオイルボトルもつくっています。
また、無鉛素材のソニッククリスタルグラスを開発し、その特性としては、鉛入りクリスタルと同様の輝き・4千回以上の洗浄機テストをクリアした耐久力があります。
デザイン性もよく、世界中のホテルやレストランで高く評価されています。
日本
ブランド⑤カガミクリスタル
1934年に日本初のクリスタルガラス専門工場として創設。
創設した各務鑛三(かがみこうぞう)氏はドイツに留学し、そこで学んだ技術を日本に持ち帰り芸術の域にまで昇華させました。
国賓として世界各国の王室・大統領を迎える晩餐会でも使用されます。
カガミクリスタルは日本における最高級クリスタルと称されるほど高い評価を得ているブランドです。
ブランド⑥木村硝子
1910年創業で、レストラン・バーなどの業務用を中心に、プロのためのグラスを企画開発している老舗の硝子店です。
創業以来、工場をもたないメーカーとして、ガラス職人や工場と協力しながらオリジナル商品を世に送り出しています。
驚くほどに薄く美しいフォルムが特徴的で、細部にまでこだわりが施されています。
ブランド⑦田島硝子
1956年創業で、江戸硝子の技術を継承しながら新たな製法を開発・採用し、様々な製品を製造しています。
その中でも、一番有名なのが富士山グラス。
グラスの底に富士山が見え、お酒を注ぐとその色に変化します。
ブランド⑧松徳硝子
1922年、電球用硝子の生産工場として創業しました。
創業以来、職人の手仕事にこだわり、ビールグラス、日本酒用グラス、ワイングラスなど嗜好性の高い硝子食器を取り扱っています。
薄はりグラスが特に大人気で、うすはりという呼び方は商標登録しているほど。
ビールはもちろん、カクテルなど、飲み物をワンランク上の味にしてくれます。
ブランド⑨東洋佐々木ガラス
1902年にランプの卸販売を営む佐々木宗次郎商店として創業されました。
以後、ガラス食器分野に移行し、現在は業務店から家庭用まで幅広く利用されています。
スウェーデン
ブランド⑩Orrefors(オレフォス)/KostaBoda(コスタボダ)
オレフォス社とコスタボダ社はもともと別の会社でしたが、現在は合併しているため社名はオレフォス・コスタボダとなっています。
合併はしていますが、別の製品を展開しているので、それぞれのブランドごとに紹介します。
Orrefors(オレフォス)
ノーベル賞の晩餐会でも、このブランドの「ノーベル」シリーズのワイングラスが使用されるなど、世界的に評価の高いブランドです。
1726年スウェーデン南部のスモーランド地方に鉄工所として設立され、1898年からガラス生産開始。
北欧らしくシンプルでモダンなデザインの製品が特徴的。
Orreは黒い雷鳥、Forsは川の流れを意味し、ロゴマークにも使用されています。
Kostaboda(コスタボダ)
スウェーデン王室の晩餐会でも使用されており、芸術性・カラー・デザインにおいて類をみない特徴的なブランドとして世界中にファンがいます。
1965年にコスタ社とボダ社が合併してできたスウェーデン有数のガラスブランド。
北欧らしい芸術性と温かみのある製品を生み出しています。
アメリカ
ブランド⑪Libbey(リビー)
1878年にウィリアム・リビーさんが小さなガラス工場を買い取ってガラス製造を始めたのがルーツ。
1950年代には北米で初めてマシーンメイドのガラス生産を始めました。
50~60年代のリビーデザインは懐かしさいっぱいで、アメリカンドリームを思い出させてくれるアイテムとしてコレクターの間で根強い人気があります。
日本では飲食店、特にアメリカンテイストのレストラン、カフェ、バーでは欠かせないアイテムです。
チェコ
ブランド⑫Moser(モーゼル)
1857年にモーゼル氏が、チェコ共和国のカルロヴィ・ヴァリ市に設立した高級グラスメーカーです。
欧米では王室、迎賓館などで広く利用されており、キング・オブ・グラスとして確固たる地位を築いています。
全てをハンドメイドでこだわり、2011年には最高品質の証として、ヨーロッパを代表する一流ブランドで組織される、栄誉あるコルベール委員会のメンバーにも迎えられます。
クリスタルとえば一般的に鉛ガラスですが、モーゼルは鉛を一切使用しません。
ブナなどの灰(炭酸カリ)を原料とした、品質の優れた無鉛のカリクリスタルを用いています。
ブランド⑬Bohemia(ボヘミアガラス)
9世紀頃チェコに伝わったガラス工芸が、ボヘミアの地でヴェネチア技法にオリジナルの繊細な装飾様式を加味したボヘミアガラスとして花開いたのが始まりです。
ヨーロッパの王侯貴族に愛され、17世紀後半にはブナ材を燃やしてつくる炭酸カリウムを加えたカリ・ガラスを制作し、成功しました。
この成功が、ボヘミアガラスを世界最高級クリスタルメーカーに。
レースカットデザインが特徴的です。
スロバキア
ブランド⑭RONA(ロナ)
100年以上前に、当時のオーストリア帝国の一部だったスロバキアに設立されました。
熟練の職人たちがつくる高品質のグラスは、瞬く間に国際的な名声を獲得し、特にハンドメイドの技術はヨーロッパ随一に。
また、19世紀末ヨーロッパで最初に精細なデザイン図をグラスに写し細工する、パントエッチング技法をガラス装飾に取り入れたことで好評となり、そのグラスは王侯貴族にも愛用されるようになりました。
1897年には、ウィーンにある一流ホテル向けに商品を納めるなど、創業当初よりホテルやレストラン向けの専用グラスに力を入れ、プロ達から高い支持を集めています。
オーストリア
ブランド⑮RIEDEL(リーデル)
260年以上の歴史を誇る老舗ワイングラスメーカー。
同じワインでも形状が異なるグラスで飲むと、香りや味わいが変わるということに着目し、世界初ブドウの品種ごとに理想的な形状を開発しました。
グラスは、世界中のワイン生産者たちとともにテイスティングを繰り返して決定されています。
ワインの生産者、愛好家、プロの方々から支持されています。
ドイツ
ブランド⑯Nachtmann(ナハトマン)
1834年ドイツのバイエルン地方で誕生し、様々なクリスタルグラスウェアを作りだしてきました。
バリエーション豊かな商品構成、またトレンドに敏感なダイナミックかつ繊細な美しさが特徴で、ハンドメイドの風合いを感じさせます。
深い彫りを実現する型押し技術は、世界的にも評価されています。
2001年にはクリスタル業界では初の国際標準規格を取得し、環境に配慮した最先端の工場は、環境意識の高いドイツでも高く評価され、数々の賞を受賞しています。
※現在はリーデルグループに入っています。
ブランド⑰SPIEGEL(シュピゲラウ)
1521年、南ドイツの美しい森奥深くに位置するバイエルン地方シュピゲラウで誕生しました。
約500年もの歴史で培われた技術とテクノロジーを融合し、高品質なガラス製品を作り出しています。
鉛を含まず、上質で薄いガラスを作り出す「吹きガラス製法」により軽量感をアップし、製造工程に使用するチューブにプラチナを採用した「プラチナ製法」で耐久性を向上させました。
1500回の繰り返し洗浄テストにも耐える強度と、美しい輝きをもつシュピゲラウは、世界中の5星ホテルやレストランでも愛用されています。
いくつかシリーズがあり、その中でもパーフェクトサーブコレクションは、プロのバーテンダーが監修しています。
デザイン・耐久性ともに最高の一品で、値段も高くないので、いろんなバーで使用されています。
※現在リーデルグループに入っています。
ブランド⑱SCHOTT ZWIESEL(ショットツヴィーゼル)
1872年、ドイツのバイエルン地方で設立されました。
ツヴィーゼルのガラス製品は、通常のクリスタル以上の輝きと透明度を持ちながら割れにくく、洗浄機も使用可能である新素材「Tritan」を使用。
この素材は世界特許をとっており、鉛を含まないため環境にやさしいクリスタルとして、エコロジー先進国のドイツでも高く評価されています。
世界120か国の高級レストランやホテル、航空機のファーストクラスや豪華客船などでも多用されています。
最後に
グラスのブランドを国別でみてきました。
色々なブランドがあるので、購入には迷いますが、それも一つの楽しみ。
是非、お気に入りのブランドを見つけて、自分用やプレゼント用に購入してみてはいかがでしょうか?