今回は、マラスキーノの代表的な銘柄「ルクサド マラスキーノ」について説明します。
独特な風味のお酒なので、日本のバーではあまり使用されることがないため知らない方も多いと思います。
「マラスキーノ」はカクテルレシピによく登場するため、聞いたことがある方もいるかもしれませんがどんなお酒なのか、原料・歴史・製法・実際に飲んだ感想・カクテルレシピなどを紹介します。
目次
ルクサドマラスキーノとは
19世紀初期、イタリアのジロラモ・ルクサド(Girolamo Luxardo)氏が企業化に成功したリキュールです。
マラスキーノリキュールの中でも、最初につくられた由緒正しき銘柄。
原料
原料には、アドリア海北東部沿岸地方産のマラスカ種(Marasca)のチェリーを使用することから、マラスキーノという名がつけられました。
このマラスカ種のチェリーは、ダルマチアの特産種で、昔からジュースやワイン、現在で言うキルシュワッサーのような蒸留酒にして飲まれてきました。
キルシュワッサー・・・チェリー(さくらんぼ)を発酵させて蒸留してつくるお酒
歴史
1820年頃、イタリアのジロラモ・ルクサド氏は元々貿易商人で、ジェノヴァ地方からダルマチア地方のツァラという町に移住してきました。
そこでマラスキーノという飲み物を知り、1821年にマラスカ種のチェリーを使用したリキュールをつくろうと考えてその町に蒸留所を建設します。
試行錯誤し、現在発売されているようなマラスキーノリキュールが完成。
1828年、当時支配していたオーストリアの皇帝にマラスキーノ製造特権を申請し、翌年1829年に15年間の独占製造権を取得しました。
製品は南米、アジアを中心に広まりましたが、第二次世界大戦中の1943年、連合軍の爆撃でツァラ工場は崩壊。
戦後の1947年、イタリアのパドヴァ近くのトッレリアの丘陵(きゅうりょう)に工場を新しくつくり、再興します。その際マラスカ種のチェリーは、その樹を植えて原料を自給してリキュールを製造して今日に至ります。
マラスキーノの製法
1.マラスカ種のチェリーを収穫して工場へ運びこみすぐに種子を外し、その種子を砕かずそのままの状態で蒸留。
→ビター・アーモンドフレーバーを凝縮したような液体ができる。
2.種子を外した果肉をしぼり、出てきた果汁をカラマツ材の大樽で発酵させ、ある程度の段階で中性スピリッツを添加して発酵を止める。
→しぼり終えた果肉のカスは種子を蒸留した液体に浸漬し、熟成。
3.その後、つくった液体をブレンドして、カラマツの開放大樽で6か月熟成し、酸化を促進させる。
4.そこから3回蒸留し、トネリコの大樽で3年以上熟成させた後、シロップを添加して再熟成させ、フィルターでろ過、脱色し、水を加えて完成。
チェリー1本の樹から、マラスキーノは5本しか製造できない計算になると言われています。
マラスキーノリキュールは他社も生産しており、キルシュワッサーにビター・アーモンドオイルとシロップを添加したタイプのものもあるようです。
マラスキーノリキュールを飲んだ感想
お酒の色は無色透明です。
実際にストレートで飲んでみたので、飲んだ感想をお伝えします。
ストレート
お花や薬草、ハーブのような香りで、けっこう甘いです。
さくらんぼが原料なのでさくらんぼの味がするのかと思いましたがそんなことはなく、クセのある独特な風味がします。
けっこう好き嫌いがわかれそうな印象で、海外の方が好みそうですね。
ルクサドマラスキーノは、それ単体で飲んだりカクテルのベースにするというよりも、少し加えてアクセントや風味付け程度で使用するのがいいと思います。
マラスキーノリキュールのカクテルレシピ15種
マラスキーノをベースにつくるカクテルはほとんどなく、副材料として使用されることがほとんどです。
実際にマラスキーノを使うカクテルを紹介します。
アイデアル
レシピ
- ジン20ml
- ドライベルモット20ml
- グレープフルーツジュース20ml
- マラスキーノ1tsp
- マラスキーノチェリー1個
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ、お好みでマラスキーノチェリーを沈める。
フルーティーでさっぱりとした味わいのカクテルです。
セブンスヘブンNo.1
レシピ
- ジン35ml
- デュボネ25ml
- マラスキーノ2dash
- アンゴスチュラビターズ1dash
全ての材料をステアしてカクテルグラスに注ぎ、マラスキーノチェリーを沈めてオレンジピールをしぼる。
第7番目の天国という意味で、そこには最高位の天使が住むとされています。
No.1とNo.2があり、このNo.1はヨーロッパ系でNo.2はアメリカ系と言われています。
セブンスヘブンNo.2
レシピ
- ジン50ml
- マラスキーノ10ml
- グレープフルーツジュース10ml
- ミントチェリー1個
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ、ミントチェリーを沈める。
No.2のセブンスヘブンで、マラスキーノの風味が前面に出たカクテルです。
アビエイション
レシピ
- ジン45ml
- レモンジュース15ml
- マラスキーノ1tsp
- ヴァイオレットリキュール2dash
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ、お好みでマラスキーノチェリーを沈めたりレモンピールをしぼる。
100年以上前からあるスタンダードカクテルで、ヴァイオレットリキュールを使用せずにつくられることもあります。
ヴィトコリンズ
レシピ
- ジン45ml
- マラスキーノ15ml
- レモンジュース30ml
- シュガーシロップ1tsp
- 炭酸適量
炭酸水以外をシェイクして氷を入れたグラスに注ぎ、炭酸水で満たしてお好みでレモンを飾る。
炭酸でupしたカクテルで、ボルスが公開しているカクテルレシピです。
メアリーピックフォード
レシピ
- ラム30ml
- パイナップルジュース30ml
- グレナデンシロップ1tsp(5ml)
- マラスキーノ1dash
- マラスキーノチェリー1個
全ての材料をシェイクして、カクテルグラスに注ぎ、お好みでマラスキーノチェリーを沈める。
「アメリカの恋人」といわれたカナダ出身の映画女優「メアリー・ピックフォード」の名前が付けられたカクテルです。
ホワイトローズ
レシピ
- ジン40ml
- マラスキーノ15ml
- オレンジジュース1tsp
- レモンジュース1tsp
- 卵白1/2個分
全ての材料をシェイクして、カクテルグラスに注ぐ。
純白のバラという意味のカクテルで、口当たりがよく香りが華やかなカクテルです。
カジノ
レシピ
- ジン40ml
- マラスキーノ10ml
- レモンジュース10ml
- オレンジビターズ2dash
- マラスキーノチェリー1個
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ、マラスキーノチェリーを沈める。
ブルックリン
レシピ
- ライウィスキー45ml
- ドライベルモット15ml
- マラスキーノ1dash
- アメールピコン1dash
全ての材料をステアしてカクテルグラスに注ぐ。
アメリカの都市「ブルックリン」の名前のカクテル。
アレン
レシピ
- ジン40ml
- マラスキーノ20ml
- レモンジュース1tsp
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぐ。
コンカ・ドロ
レシピ
- ジン50ml
- チェリーブランデー10ml
- ホワイトキュラソー10ml
- マラスキーノ10ml
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ、オレンジピールをしぼる。
1955年にオランダのアムステルダムで開催されたカクテルコンクールで優勝した作品です。
オールド・クロック
レシピ
- ウォッカ40ml
- ブルーキュラソー10ml
- マラスキーノ10ml
- マラスキーノチェリー1個
全ての材料をステアしてカクテルグラスに注ぎ、マラスキーノチェリーを沈める。
マラスキーノの風味が強い、色鮮やかなカクテルです。
チャイニーズ
レシピ
- ラム60ml
- オレンジキュラソー2dash
- マラスキーノ2dash
- グレナデンシロップ2dash
- アンゴスチュラビターズ1dash
- マラスキーノチェリー1個
全ての材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ、マラスキーノチェリーを沈めてレモンピールをしぼる。
ラムが主体の度数の強いカクテルです。
由来はわかりませんが、チャイニーズ要素は特にないですね。
サラトガ
レシピ
- ブランデー60ml
- マラスキーノ2dash
- アンゴスチュラビターズ2dash
- パイナップルジュース1tsp(5ml)
- 全ての材料をシェイクしてカクテルグラス(クープグラス)に注ぐ。
サヴォイカクテルブックでは、これに少量の炭酸水を加えます。
ブルービア
レシピ
- マラスキーノ30ml
- ブルーキュラソー10ml
- ビール180ml
ビール以外の材料をグラスに注いでステアし、ビールで満たしてビルド。
青いビールという名前ですが、ビールの黄色とブルーキュラソーがまざり緑色のカクテル。
青信号が青でないのと同じですね。
ルクサドマラスキーノ
ルクサドマラスキーノについて、歴史や製法、味、カクテルなどお伝えしました。
個性的な味なので、好き嫌い好みがはっきりわかれると思います。
スタンダードカクテルに副材料として使用されることが多く、美味しいカクテルもたくさんあります。
本格的なバーでも置いていないことが多く、中々飲む機会はないかもしれませんが、気になった方は是非飲んでみて下さい。